日本人メジャーリーガー、投手編|吉井理人
最近は、日本人選手がメジャーリーグに移籍するのは、
ポスティングシステムというイメージが定着しているが、
フリーエージェントの権利を行使して、移籍する方法もある。
この制度を使った初めての移籍選手が、
1997年ヤクルトからメッツ移籍を果たした、吉井理人投手である。
和歌山県の古豪・箕島高校のエースとして活躍し、
近鉄に入団後は、リリーフエースとして君臨し、
ヤクルト移籍後は、先発投手として2ケタ勝利を記録した。
メジャーリーグでは、5年間で、
3チームを渡り歩き、メジャー通算32勝を挙げた。
その後、日本球界に復帰し、
5年間プレーした後引退し、日本ハムのコーチに就任し、
現在は、ソフトバンクの投手コーチを務めている。
吉井投手の特徴は俗に言う、”打たせて取る” ピッチングである。
メッツ時代には2ケタ勝利を挙げるなど、その技術は、
メジャーリーグでも十分に通用したと言えるだろう。
吉井投手のハイライトは、1999年のプレーオフ、
ディビジョンシリーズ、リーグチャンピオンシップシリーズで、
ともに初戦に先発し、好投を見せたことである。
それまで、日本人投手がプレーオフで活躍した例はなかった。
惜しくも勝利することはできなかったが、
ランディ・ジョンソンやグレッグ・マダックスという、
歴史に残る大投手と互角の投げ合いを演じた、
吉井投手の姿は、日本人の誇りである。
そうした経験値が、投手コーチになってからも、
生きているのではないだろうか。
ぜひ、息の長い名コーチとして、
日本野球の発展に力を尽くしてもらいたい。