日本人メジャーリーガー、投手編|斎藤隆
プロ野球界だけではなく、いろんなスポーツ分野で、
選手寿命が延びていることは、まことに結構なことだ。
特に、ベテランがかつての輝きを放つ姿は、
同年代の人々にとって、否応なく、元気づけてくれるものである。
2006年当時、もう終わった投手との烙印を押され、
ロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約を結んだ、
斎藤隆投手は、すでに36歳になっていた。
しかし、そこから驚異的な活躍を見せ、
世間をあっと言わせたのである。
出だしから好調を維持していた斎藤は、
クローザ―に抜擢されると、ますます輝きを見せていった。
安定したピッチングで、チームの地区優勝に貢献し、
2007年は絶好調で、監督推薦で、オールスターゲームに選ばれる。
映画の、「オールド・ルーキー」を地で行く活躍ぶりに、
日米問わず、多くのファンが斎藤に声援を送った。
メジャー5球団を経験した後、43歳で楽天に入団すると、
ブルペンの良き兄貴分として存在感を発揮し、楽天の初優勝に一役かった。
45歳の現在も、現役として楽天に所属していることは、
特筆されるべきことだろう。(同年引退)
一方、日本時代に活躍していなかったわけではないが、
全体的に衰えの隠せなかった斎藤が、海を渡って、
比較的早い段階から、結果を残し続けたことを受けて、
メジャーリーグのレベル低下を語る人は、
依然多く存在するが、それは大きな間違いである。
スライダーの制球がいい斎藤にとって、
外のストライクゾーンが広いメジャーリーグは、
うまくはまったのだ。
また、メジャーリーグの選手は、積極的に、
スイングするタイプが多いので、ワンバウンドする高さに、
縦の変化球を投じると、空振りしやすいのである。
適材適所な環境を、自らの力で作りだした斎藤の姿勢に、学ぶことは多い。