日本人メジャーリーガー、野手編|田口壮
2005年に、日本人初のワールドチャンピオンに輝いたのは、
ホワイトソックスの井口選手だったが、途中交代していたため、
優勝の瞬間に、フィールドにはいなかった。
優勝の瞬間に、フィールドに立っていた初めての日本人選手が、
2006年、24年ぶりにワールドシリーズを制覇した、
セントルイス・カージナルスの外野手、田口壮選手だ。
時には、長いマイナー暮らしを経験しながら、
不屈の精神で、「第4の外野手」としての地位を確立し、
ここ一番でいぶし銀の働きを見せた、田口選手の生き方は、
経済が停滞する中、自己の在り方に悩む、
多くのサラリーマンに、勇気と希望を与えたのである。
田口選手の特徴は、レフトからライトまで、
どこでも守れる、ユーティリティ性である。
1試合の中で、複数のポジションを守ることも多く、
名将と呼ばれた、トニー・ラルーサ監督に重宝された。
しかも、単なる守備要員としてだけではなく、
満塁では、5割を超える打率を誇るなど、
レベルの高い働きぶりが、攻守に光っていた。
この勝負強さが、遺憾なく発揮されたのが、2006年のポストシーズン、
メッツとの、ナ・リーグ優勝決定シリーズだ。
初戦を落としたカージナルスは、第2戦も苦戦し、8回終了時点で、
同点だったが、ここで田口選手が、メッツの絶対的守護神ワグナーから、
貴重な勝ち越しソロホームランを放った。
この勝利で、カージナルスは勢いに乗り、
24年ぶりのワールドシリーズ制覇まで、
一気に駆け上がっていったのである。
記者会見も通訳をつけず、英語を駆使して、質問に答えていた田口選手。
その能力を活かして、日本人初の、
メジャーリーグコーチになって欲しいと、切に願う。